「最近、量子論とか量子コンピューターとか良く聞くけど…」
「量子力学って”引き寄せの法則”と関係あるらしいよ」
「量子力学は学問でしょ?スピリチュアルがどうとかって言うと怪しい…」
この記事を見ていただいてるということは現在、量子論とか量子力学のことがなんとなく気になっているって感じですか?ネットで情報もたくさん出ていますが、難しそうで後回しにしている方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな「量子力学」について、できる限り難しいことは抜きにして、そもそも量子って何?から始まって私たちの未来とどう関係してくるの?まで、量子論と深く関わりのある応用化学を大学で研究し、社会人として十数年のエンジニア経験を持つバリバリ理系人間の私が分かりやすくお伝えしていきます。
最後まで読んで頂ければ、あなたに明るい未来が待っている!かもしれません。
是非参考にしてください!
1.ズバリ!量子力学とスピリチュアルの関連性とは?
結論からお話すると、量子力学はれっきとした学問です。スピリチュアル的な世界があることを前提にしていません。なので、スピリチュアルとの関係性はないのです。
近頃、量子力学が何か人間の不思議な力、あたかもスピリチュアル的な力を研究している学問だと思われている方が多いように思われます。
ですが、今までの常識では説明できないことが量子力学の実験で次々に起こっているのも確かです。
例えば実験している人が量子の動きを見ているか、無視して横向いているかで実験の結果が変わったりするんです。「そりゃ、見てない隙に誰かが何かしたんでしょ」と思うかもしれませんが、そうじゃないんです。(後ほどしっかり説明します)
では、そんな量子力学の研究から見つかった不思議な現象とは何なのかをお伝えしていきましょう。
2.そもそも量子とは何か?
それでは、不思議な現象のお話をする前にそもそも「量子」って何?「量子力学」って何?から簡単に説明します。
分子=この世界の物を作っている小さなかたまり(最も小さいかたまりではない)
原子=分子を更に細かく分けた小さな物(これ以上小さい世界が量子の世界ということになります)
力学=物と物との間に働く力の学問のこと
を指します。
「量子」という言葉の定義は、ひとつ、ふたつ、みっつ、という数え方しかできない小さなかたまりのことを言います。(1.5個とか3等分とか分けられない最も小さなかたまりのことをこう呼びます。)
では、この世界に存在する物はどんな物でも「分子」でできているって聞いたことがありますか?その分子は、更に小さな「原子」がいくつか集まってできていて、またその「原子」は、「原子核」と「電子」でできています。
このようにこの世の物を細かく細かく分けていって、これ以上小さく分けられないっていうものを「素粒子」といい、「素粒子」=「量子」ということになります。
また、「力学」とは、物と物との間に働く力の学問のことです。物同士がぶつかって飛ばされたり、近寄っただけで離れて行ったりといった動きがどういった関係性でそうなるのかを見つけ出します。(人間関係でもこういうことって気になりますよね。)
なのでこの二つの言葉が集まった「量子力学」は、この世界を形作っている物を小さく小さく分解していった目に見えない世界での物の動きを研究している学問になります。
「量子力学」って何なのかなんとなく分かってもらえましたか?
3.量子の不思議な動きと実験結果
さて、いよいよその量子の「不思議な動き」についてお話しします。
量子力学の有名な実験で「二重スリット実験」というものがあります。
二重スリット実験とは以下のような流れで行う実験です。
↓
②電子銃で電子(量子)を連続して打つ
↓
③壁の状態を見る
壁に無数の電子が当たった跡が模様として残る
詳しく解説していきます。
◆ 実験1回目
電子銃で機関銃のように電子(量子)を高速に連射して打ち込む。
【結果】
壁に波が干渉したような縞模様が形作られた。(図1)
図1.
これは何を意味しているかというと、電子が本当の弾丸のように粒の性質であれば、壁には2本のスリットと同じような形が形作られる(図2)はずなのに、そうではなくて電子が波の性質を持って壁に当たっているということになります(図3)。
図2.
図3.
◆ 実験2回目
電子銃で電子を高速連射ではなく1発づつゆっくりと時間をかけて連続して打ち込む。
【結果】
実験1回目と同じように波が干渉したような縞模様が形作られた。(図4)
図4.
1発づつ間隔をあけて打っているので、電子は右か左のどちらかのスリットを必ず通って壁に当たっているはずで、そうであれば壁には2本のスリットと同じような模様が形作られなければならないのに…ナゼ?
◆ 実験3回目
実験2回目と同じように電子銃で電子を1発づつゆっくりと時間をかけて連続して打ち込む。
だだし、今回は板のすぐ横に観測装置(センサー)を置いて、左か右かどちらのスリットを電子が実際通っているのか観測する。
【結果】
壁には波が干渉したような縞模様ではなく、2本のスリットと同じような模様が形作られた。(図5)
図5.
これはどういうことを意味しているかというと、観測して左右どちらかのスリットを通っているのか人間が分かってしまうと電子は本当の弾丸のように粒の性質になって飛んでいき、逆に人間が観察していないとどっちの穴を通っているのか、どういう動きをしているのか分からないあいまいな状態の波の性質になって飛んでいくということになります。
もっと分かりやすく言うと、「人間が見ているときと人間がみていないときと電子の態度が変わる」という解釈ができます。これは、人間の意識が現実世界の物質の状態に影響を与えているという他ありません。
このような量子の動きを、まるで量子が意志を持っているかのようなので、量子力学では「量子のふるまい」という表現を使います。
当然、この実験結果は紛れもない事実なので、量子力学としての理由付けの仮説は考えられていますが、どうして量子がこのようなふるまいをするのか本当のところはまだ解明されていません。
こんな「量子のふるまい」が学問的な正式な実験結果として確認されたので、スピリチュアルと結び付けて考えたくなる人がいるのも仕方がないような気もします。
4.みんな使ってる!生活の中の量子論
スマホに使用されている「半導体」ですが、半導体の中での電子のふるまいは、量子論にもとづく「バンド理論」とよばれる理論によって明らかにされています。人間が温度などの条件をコントロールすることによって半導体を活用することが可能となったのです。
簡単に解説すると、電気をガンガン通す金属みたいなものを「導体」といい、反対に全く電気を通さないゴムのようなものを「絶縁体」といいます。
「半導体」は、この中間で、条件によって電気を通したり通さなかったりする物質のことをいいます。電気の通しやすさは、物質の中で自由に動き回れる電子(自由電子)の存在で決まり、「半導体」は、通常は自由電子が少ない物質ですが、温度を上げたり不純物を加えたりすると、自由電子が増えるといった内容です。
量子の研究の歴史は古く、量子論が現在のIT社会を誕生させたと言っても過言ではないんです。
また、量子論を使わないと説明ができない超電導という現象を使った超高速移動鉄道のリニアモーターカーも、日本ではいよいよ2027年にJR東海により東京ー名古屋間で正式開通予定ですし、大阪までは2045年の開通目標で計画が進んでいます。
量子論がなければパソコンもスマホも無いつまらない寂しい世界だったんですよ。
量子論に感謝!感謝!です。
5.量子力学で未来が変えられるの?
100年前の人たちがパソコンやスマホを普通に使う未来が来るなんてことを想像すらしていなかったように、量子力学が更に未来を変えていくことは間違いないでしょう。
現在、量子力学の研究で最も実用化に近い技術として「量子コンピューター」というものがあります。これは、量子の不思議なふるまいを上手くコントロールすることにより、今までのコンピューターとは比べものにならないくらい超高速計算を可能とするものです。
また、「量子テレポーテーション」という技術も真剣に研究されています。
テレポーテーションは、物体をある場所から他の場所へ瞬間移動させるという意味の言葉です。実用化はまだまだ先の話ですが、量子の世界ではテレポーテーションの実験に成功したという報告がされています。
更に、まだ量子力学の理論上の話ではありますが、未来から過去の方向へと、時間を逆行する粒子「反粒子」というものの存在が仮定されています。極論ですが、反粒子をコントロールできれば、もしかすると、過去へのタイムトラベルも可能かも!ということにつながります。
量子力学がドラえもんの世界を現実に近づけている気がしませんか?
この辺の話は、また別の記事で詳しくお伝えします。
6.まとめ
今回の記事では
・量子力学は立派な学問である
・そもそも量子とは何か?
・量子の不思議な実験結果
・身近な量子力学とは?
・未来につながる量子力学の研究
について解説しました。
量子力学のことを「もっと知りたい!」と思ってもらえましたでしょうか?
まだまだお伝えしたいことがたくさんあります。
是非今後の記事も参考にしていただければうれしい限りです。
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